新潟へぎそば 小嶋屋総本店

MESSAGE FROM THE PRESIDENT

のれんは磨き上げるもの

これからの100年に向けて小嶋屋総本店三代目 小林重則の熱き想い

  
風土・文化・伝統から生まれたそばを、
独自の発想で唯一無二の存在に

平成25年、自然を尊ぶ国民性に基づく「食」に関する習わしが「和食:日本人の伝統的な食文化」と題し、ユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、皆様の記憶にも新しいことと思います。
南北に長い日本では海、山、里の多様な食材が獲れ、その食材の味を活かす調理技術や調理道具が、各地域で発達し根づいてきました。ことに日本の食文化は年中行事と密接に関わりながら育まれ、家族や地域が自然の恵みである「食」を分け合い時間を共有することで、絆を深めてきたのです。
弊社が手がけるそばも、古くからハレの日のご馳走として、各家庭に欠かせない料理として発展してきました。それを初代 小林重太郎が、十日町・魚沼地方の織物と結びつけることにより、独自の味わいを創生します。

当地域は江戸時代から明治時代にかけ、一年の半分を雪の中で過ごすという苛酷な環境下で織物の街として栄え、機織りに使う海藻(=布乃利「フノリ」)をつなぎに用いたのが弊社の「へぎそば」です。小麦粉や山ゴボウの葉を使った他地域のそばとは異なる風味・食感のそばはその後、雪国独自の文化として受け継がれ100年を迎えます。

新蕎麦の風味を通年にわたりお届けそのために小嶋屋総本店がすべきこと

長引く不況に加え、労働人口が減少するこの時代において、小嶋屋総本店はあらためて、お客様の満足度や社員の幸福感の向上を図り、地域貢献について質を上げるべきと考えます。意欲ある社員の活躍の場としての新規出店と人材育成を重ねながら、企業としても一歩ずつ発展していけることを目標にしています。
そのような中で弊社にとっての重要な案件が、玄そばから製粉~製麺~商品加工~飲食・提供までを一貫体制で行う工場の新設でした。コメ同様、玄そばも布乃利も一年に一度しか収穫できません。ではどうやって通年にわたり、「獲れたて、打ちたて」のそばの風味をお客様へ均一に提供していくのか――?
一番の問題は経時劣化をどう防ぐかですが、平成25年の新工場の稼働以来、すべての玄そばを低温管理で品質保持し、さらに現在ではJAきたそらち(北海道幌加内町)の協力のもと雪室を活用して、玄そばの品質管理を行えるようになりました。

また製造機械や設備に併せ、それを支える人材、技術も整い、若手社員らがモチベーションを上げています。長年手がけてきた乾麺はもちろん、難しいとされてきた生麺の製造についても、新たな知 恵や工夫によって均一な製品作りができていると自負しております。
大正11年、初代重太郎は苦労の末に小嶋屋総本店を創業しました。「老舗の味」とは昔の味を守るというイメージがありますが、「のれん」は守るものではなく磨き育て上げるものとも言われます。弊社は秘伝の製法を基に、時代の変遷と共に少しずつ変化を加え、時には大鉈(おおなた)を振るって小嶋屋総本店の味わいを築いてきました。
もちろん、完璧な製法を求めても、着地点はないのが「そば」の魅力です。今後もお客様にご満足いただける味の追及に挑み、これまで以上にのれんを磨き上げるとの熱意を込めて、社員一同、研鑽に励んでまいります。

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